海外交通政策資料研究会 第45回 議事録
日時 2015年3月19日 (木)15:00
議題
1 米 Beyond Traffic 2045
2 米 陸上交通インフラ予算と財源
3 米 AMTRAK 資金法案
4 米 CHSRA試験車両選定手続
5 米 鉄道事故 Metro-NorthとCSX等
6 英 Eurostar株の売却
7 仏 SNCFの2014事業報告
8 日立のAnsaldo Breda 、Ansaldo STS買収
9 獨 Siemens Rhein-Rhur-Express用車両受注
10 印 鉄道改良資金増額投入
報告及び議事内容
★米Foxx運輸長官は322ページに及ぶ交通システムの分析と動向についての「Beyond Traffic 2045」を発表し今後30年の変化への対応策について各界の議論を促した。都市圏を中心に特に南西部での大幅な人口増、millennial若年層中心の自動車交通の減少、老年層のトランジット依存、宅配を含む貨物量の増大、航空のハブ化と航空トラフィク増、エネルギー価格低下による輸出増やグローバル化による港湾の逼迫、パイプライン不足による鉄道への転嫁、技術開発に伴う車両、インフラ、ロジスティックの安全性、効率性の向上、ロボット利用、気象変動、水位上昇、65%の道路、25%の橋梁の老朽化、45%の住民の未トランジットアクセス、これに対し設備維持、増設のための燃料税は期待できず道路会計は資金不足、鉄道、水路、港湾への連邦資金制度の不在、新しい資金メカニズムの創設の必要性等論議のための詳細な材料を提供した★オバマ大統領はrepatriation(海外事業利益送金)に対する14%課税の財源を含め6年間4780億ドル(道路、橋梁3170億〈内970億は16年度〉、1430億ドルの連邦トランジット計画、180億ドルの貨物改良)のインフラ公共事業予算を要求。5月に期限の切れる道路信託基金を燃料税を増徴せずに維持するとしている★下院は2019年まで各年Amtrakのネットワークに9.8億ドル、北東回廊に4.7億㌦、新規路線3億㌦、2008年法による補助の継続を内容とする総額80億㌦の論議の多い資金法を可決★CHSRAの試験車両発注に関し辞退や合併の動き。工場新設にBuy Americanの適用除外が見込まれる★Metro-North 第3軌条区間の踏切事故によるガソリン引火火災で死傷者★最近CSX、 BNSF等米国貨物鉄道での脱線、タンク車の爆破、火災などの事故が頻発、原油価格の下落、国内産オイル等生産量の急増、パイプラインの制約、鉄道依存の増大、揮発性物質対応策、車両の不適合、線路・橋梁の保守状態、投資不足、監視組織の脆弱等問題点が多く、人口密集地帯、原子力施設の近郊等での事故に対し重大な懸念が示されtombstone mentalityを克服し早急な関係者の対策が求められている★英国政府はEurostar International Limited の持分40%をカナダのCDPQ(30%)とHermes Infrastructure(10%)に£585.1mで売却、更に優先株の処分£172mを含め総額£757.1mで手続き完了と発表。1996年BR民営化とともに所有権をLCRに移転、2010年3国統合会社、持ち株はLCL40%,SNCF55%、SNCB5%となり、2014年にLCRの持ち分は政府に移管されていた★2014/8/4 公布された新SNCFの下にSNCF-MobiliteとSNCF-Reseauへの再編法が2015/1/1施行された。2014年の事業報告では(分離SNCF-Infraは国際会計基準IFRS5に従い記述)収入全体€27.2bn、1.5%増、国内環境は厳しかったが国際部門で7%、特に国外でのKeolisの大量輸送は20%増、ロジスティク5.8%増。EBITDA目標€2.4bnを達成、純益€605m。高水準の投資に対し純負債€7.4bnを維持。従業員20万(120国)、従来のインターシティ、駅事業、インフラ資金などに問題あるとしてもExcellenc 2020へ向けて挑戦★日立はFinmeccanicaのAnsaldoSTS(信号設備)持ち分40%を€773m.で買収、更にAnsald Breda(車両)を€36mで買収予定。ボンバルディア、アルストム、ジーメンス、中国などの国際市場での競争力強化★4地域圏が共同で運行予定のRhein-Rhur express 用の30年の保守契約を伴う車両を受注★インド鉄道改良に今後5年間$137bn.を投入予定