第十四号 鉄道寮事務簿
明治五年に作成された「鉄道寮事務簿」に掲載されております職員の制服に関する記述をご紹介します。
プロローグ
創業時代の鉄道に関する基本資料が修正されている記録・書類(明治三年から二十六年)の中に鉄道寮事務簿があります。
これは明治五年三月品川・横浜間鉄道開業に先立ち職員の服装を統一する必要上から制服制帽を貸与することを制定したもので、当時のやり取りが記録されており制服のデザイン画も記載されてました。昭和三十四年鉄道記念物に指定となり国鉄本社に保管されております。この貴重な資料を原本より抜萃騰した人物がおります。井原 知。昭和四年十二月、目黒駅長になった年この宣伝のプロはその才能を存分に発揮し新しく和紙に書かれた「鉄道寮事務簿」は三百五十頁に及ぶ和綴じの本になりました。制服の絵は薄紙に丁寧に描かれて綴じ込まれております。「子息ノモトニ持参サル」と青木槐三氏の鉛筆書きのメモが残されております。
井上(勝)鉄道頭殿
竹田(春風)鉄道助
佐畑(信之)鉄道権助当寮官員衣類仕渡制限
左の通り相定め度
お伺い申します
【解説】
品川・横浜間鉄道開業に先立ち職員の服装を統一する必要上、制服制帽を制定貸与することを連名で井上勝に申し出た。
鉄道寮運輸掛官員之内駅長車長取締相図方役夫等ハ制服着用不致候而ハ差支可申、然ル処自費調整等ハ行届兼可申ニ付、別紙鉄道助及権助より申出之通官費制服渡方相成候様至度、此段可然御評議有之度候也
【解説】
それを受けた井上鉄道頭は、三月十日佐野工部大丞あてに駅長はじめ運輸業務に携わる職員に制服・制帽を貸与するように要請した。